MS【えむ・えす】(Mass spectrometry、質量分析)
イオン化部による分類:
主に使われているイオン化法はESI (エレクトロスプレーイオン化法), MALDI (マトリクス支援レーザーイオン化法), APCI (大気圧化学イオン化法)
分離部による分類:
TOFMS (飛行時間型質量分析計), QMS (四重極質量分析計), ITMS (イオントラップ), 磁場型質量分析計, FT-ICRMS (フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計)
MSMS【えむ・えす・えむ・えす】(タンデム質量分析)
1台目のMSで分離した目的イオン (プリカーサーイオン) を破壊し、2台目でその断片 (プロダクトイオン) の測定を行う。複数のプロダクトイオンの情報から、プリカーサーイオンの構造を予想することが可能になる。
MT【えむてぃー】(Migration Time, 移動時間)
キャピラリーに電圧がかかって泳動を始めてから、MSで検出されるまでの時間。LCにおけるRT (Retention Time, 保持時間) のこと。イオンはそれぞれの物性により固有のMTをもつ。
Rel MT【れる・えむてぃー】(Relative Migration Time, 相対移動時間)
内部標準により二次関数でMTのずれを補正した後のMT。
時間補正、三点補正
キャピラリー電気泳動ではサンプルごとにMTが異なるため、データのアラインメントを行うとき時間補正を行う必要がある。HMTでは内部標準物質を3つ使用して補正する”三点補正”を行っている。
Rel Area【れる・えりあ】(Relative Area, 相対面積)
内部標準の面積値で標準化した各ピークの相対面積値。
精密質量(calculated exact mass, measured accurate mass)
算出方法によって以下のように異なる値が得られる。
calculated exact mass(計算精密質量):代謝分子の同位体組成式と各元素の同位体質量に基づいて計算される値。特に各元素の最も存在度の大きい同位体のみから構成される化学種を想定した値は、モノアイソトピック質量(monoisotopic mass)という。
measured accurate mass(測定精密質量):実際の測定の結果得られた化学種の質量の精密な値。(通常はミリ原子質量単位以下)
(注意) 精密質量の計算に用いる相対原子質量(relative atomic mass)は、ある原子1個あたりの質量の原子質量単位(u)に対する比であり、これに対して一般的に用いられる原子量は、元素の相対原子質量 (relative atomic mass of elementまたは 標準原子量 standard atomic weight) と呼ばれ、元素の各同位体の相対原子質量にそれぞれの存在度をかけて求めた荷重平均値を指す。
炭素原子(C)の例
原子質量 (12)C=12.0000 (存在比 98.93%) (13)C=13.0033 (存在比 1.07%)
標準原子量 C=12.0107 (= 12.0000×0.9893 + 13.0033×0.0107)
m/z【えむ・おーばー・じー】
イオン質量を(12)C質量の1/12で割り、それを電荷数z(イオンの総電荷数/電気素量)で割った値。目的イオンの分子量をM、プロトンの原子量をH+とすると、1価の場合、各モードでは以下の検出値が得られる。
カチオン (プロトンが付加したイオンの測定): [M + H+] / z
アニオン (プロトンが脱離したイオンの測定): [M – H+] / z
メタボローム解析では検出した代謝物質やその関連イオンを同定する指標として用いられる。
エラーppm
m/zの理論値と測定値の差。
{abs (m/z (測定値) – m/z (理論値)) / m/z (測定値)} × 10^6
μM【まいくろ・もーらー】(micromolar)
濃度の単位。μmol/L。1M (mol/L) の百万分の一 (10^6)